2013年7月23日火曜日

私の力ではどうにもならないことがある。



父は背が低く体も小柄でした。
しかし、子どもに恵まれ5人もいたので
子どもたちをしっかり育てたいという責任感は
だれよりも強い人でした。

父は農業を営みましたが
うちにも牛が一頭いました。

荷車をつけて道を走ると
荷車の後ろに座った父は
この世で最もかっこいいドライバーです。

ある日
久しぶりに家に行ったのですが
夜、苦しそうなうなり声が聞こえてきました。
朝、母に聞いてみると
牛が働き過ぎた時
そのようにうなるのだと言いました。

そういう時には
牛の舌をひっかいて白い苔を取り除き
韓国のお酒、マッコリを飲ませてあげると
元気になってまた働くのだそうです。

農作業中には
人も牛も仕方がないそうです。
牛が疲れていたら父も大変だったことでしょう。
それでも、何も言わずに
朝になればまた牛を引いて仕事に出ます。

私の父の座右の銘は「力進必起」です。
いつも全力で進んでいけば必ず成功する、という意味です。
そんな父をとても尊敬していました。
今でも父を思うと心が熱くなります。

しかし人生の中では
全力でやってもうまくいかないことにも出会います
自分で努力してみた結果
不可能なことも多いということを経験することになります。

特にアトピー治療をしていると
いろんな方法を試してみて、あらゆる手を尽くしたという人に出会います。
このような人は大部分疲れきっていて
アトピーもひどいのですが
それよりも、うらみつらみが心にいっぱいだということに気がつきます。

治ると聞いてやってみたことがみな失敗したために
もう誰も信じないで、自分の判断だけ信じようと思っています

アトピーを治療するとき
このような考え方の人を治療することが難しいのです。
アトピーと言う病気も難しいですが
その心のなかに治ると「信じる」ことを植え付けるのが
もっと難しいことです。

やっても駄目だと思っても
でも「治る」と言う人に会ったら
自分の判断はとりあえず置いておき任せたら
私の治療方法に従うことができるのですが
だまされ閉ざされた心のままで来院したら
いくら私が説明しても不安がり
治療方法に従えず自分の方法も並行して行う人が多くいます。

そんなとき
私はこう言います。
人生、生きていると
自分の力ではどうにもならないことに出会います

いくらアトピーを治してくれると聞いて
今までだまされ続けたとしても
でも、治りたいのなら
自分の力ではなく
治してあげましょうという人に期待をすべきではないでしょうか。
自分にできないことに対し
不安がって生きるのではなく
信じて生きるべきではないですか。

また信じられる世の中になって
お互いの信頼が流れる幸せな世の中になってほしいものです。







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